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ちぃずさんの小説を転載しました。
持って帰るといっておきながら、こっちに載せるのが大分遅れちゃいました^^;

初出:http://suhureno.blog77.fc2.com/blog-entry-413.html

子供が帰って幾時間、夜空にまぁるいお月様が昇り、わしはうたた寝から目を覚ます。

わしがあくびをすると、美術室におった美女が視線をよこす。
「寝ていたのかい、なな。」
ああ。初夏の風が気持ちよくてな。
「ふぅん?ななが眠たいのは年中じゃないの」
ふん、その通りじゃ。リザはいぢが悪いの。
わざとすねて見せると「ふふ」といつもの謎めいた微笑を浮かべる。
「日が落ちる時間が遅くなった。夏が近くなったのかね。」
気温が上がると化粧がはげやすくなるらしく、それが理由で夏が苦手なリザはため息をついた。
「だってね、わたくしだってモデルですのよ。化粧直しも出来ないうちにデッサンをされるだなんて、ああ!美人としてこれ以上の屈辱があるものかしら?」
まったく。己のことを美人とぬけぬけという女子だなんて大和撫子の風上にもおけぬわ。
「わたくし日本人じゃありませぬもの」
それもそうか。
ふむ。それはそうとしてモナリザよ、おぬしはどこの国籍だかわしゃ知らぬのじゃ。

これはモーツァルトか?美しいピアノの音色に惹かれて音楽室へ出向いてみる。
音楽室には数人の男どもが椅子を囲んで輪になっている。

♪~♪♪♪~♪....
ダッ バタバタバタバタ

突如音楽が途切れると、椅子の周りを歩いていた男達が我先にと腰をかける。
人数分よりひとつ少ないらしく、あぶれて床にへたり込んでいる者を運良く座ることが出来た男たちが囃し立てる。
「あーはっはっはっ!」
「次はお前の番だベートーベン!」
「くううぅ」
「これで何度目だぁ?」
苦笑するモーツァルトにかわりベートーベンがピアノの前に座る。悔しさに血涙を流しながら椅子取りゲームのために渾身の一曲をひくのであった。
まったく、男というものはいつまでたっても子供なのじゃな。

「なな」
いつのまにかおさげ髪の少女が廊下に立っていた。
そうじゃ 花子、月が綺麗だし校庭へ行こうかね。
わしがそういうと 空に浮かぶ月に負けないくらい明るく綺麗な笑顔をみせてくれた。

花子を昇降口へ連れてゆくと、本を読むことに没頭している少年がぶつぶつつぶやきながら目の前を横切った。
「ねぇねぇ花子もご本が読みたいねぇねぇ」
意外と歩幅の大きい少年の後ろを、半ば小走りになりながらついてゆく。
花子や、「ねぇねぇ」はお願いをする言葉じゃないよ。きちんと頼みなさいな。
「二宮さんご本を貸してくださいおねがいします」
「うるさいうるさいうるさい本の内容が頭に入らないぢゃないか」
棒読みで「お願い」する花子を無視して振り切ろうと尊徳の足が徐々に速くなる。あわせて花子の足も速くなってゆく。
「おねがいおねがいおねがい~あはははは...」
すでに花子は本来の目的の「本」よりも、徒競走のような鬼ごっこが楽しくなってしまっているようだ。尊徳には気の毒だけど今夜は読書はあきらめたほうがよいようじゃな。

校舎の1階の窓をおぢさんのライトが一瞬黄色く照らして、すぐに暗くなった。もう用務員のおぢさんの見回りの時間かの。
足腰の弱ってきたおぢさんが二階へ登るときに、わしは階段を数段減らして助ける。
このとき段数を減らしすぎてはよろしくない。一度減らしすぎておぢさんの背丈よりも高い段になってしまった。おかげで階段が見つからないと立ち往生させてしまった。

おぢさんが見回りを終えて用務員室へ帰ってしまったので、わしもまた朝までしばし眠ることにする。
朝に元気な子供達が校門を潜って駆け込んでくるのを出迎えるために。

わしは「第七小学校」。
この身が朽ちるまでここに通う子供達を見守り続ける、ただの校舎じゃよ。

--------おしまい---

モチーフはそのまんま「七不思議」
●モナリザの目が動く(にらむ)
●夜中にピアノの音
●血涙流すベートーベン
●トイレの花子さん
●歩き回る二宮尊徳
●階段の段数が増える(減)
●七不思議なのに6不思議しかない(t
というわけで、登場人物のほとんどは「七不思議」な方々です。
「なな」の呼び名は「七不思議」から取ってるわけではなく、名前として通りが良い数字だったからです。
書きながら「ホーンテッドじゃんくしょん」思い出してた私がいましたよっと。
...知ってる作品に似ないようにするのもまた難しいものですね;

●追記。
「なな」を擬人化するかどうか迷ってるままなので、
花子を校庭に連れて行くシーンを修正しました。
性別ですが、女性でも一人称が「ワシ」という時代の女性ないしおばあさんが語っている設定です(「まったく、男というものはいつまでたっても子供なのじゃな。」で表明)
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