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ちぃずさんの小説を転載しました。
前作「第七小学校の七不思議」続編です。
初出:http://suhureno.blog77.fc2.com/blog-entry-429.html
前作「第七小学校の七不思議」続編です。
初出:http://suhureno.blog77.fc2.com/blog-entry-429.html
時刻は、深夜2時。
奥から二番目のトイレの扉を叩き子供達がする花子を呼び出す「儀式」を真似てみる。
とんとんとん
「花子さんいますか?」
「はいってまーす」
第七小学校の七不思議のひとり・花子がニコニコしながら出てきた。
ふっくらした色白の頬、おさげが二本垂れている。その姿は10歳ほどにみえるが、卒業していく子供達を十数回は見送っている。
連れ立って校内を歩く。
「「転校」する日は今日なのね」
「そうだよ」
「あちらでも仲良しさんはできるかしら?」
「花子ならすぐお友達が出来るよ」
「もっともっと、ここに居たかったなぁ」
「でも花子は「校則」をちゃあんと知っているのでしょう?」
「うん...」
七不思議にもいくつかの決り事がある。彼女はそのうちのひとつを破ってしまったため今日、「転校」することになった。
わしはそれを伝えに、そしてお別れをしにきたのだ。
「ショウジが大好きだったのだね」
花子は頬をほんのり赤く染め頷く。
「いつも ね、ショウジさんは手を洗う時に一緒に鏡を綺麗に拭いてくれていたの。」
ほんの二日前までの日常を、遠い日のように花子は語る。
「だから、許せなかったの」
きっかけは、ショウジの隣の席にいた級友が試験で1番を取ったことからだった。ショウジとその級友が不正をしたと噂が流れ始めたのだ。
始めは二人三人のささやき声から。
五人十人の怒りの声となり、数十人の糾弾に。
ついにはショウジの隣の席に居た級友も被害者の側へ回る言動を取り出した。
そして、理不尽な暴力へとエスカレートするのに時間はそれほどかからなかった。
花子は子供達が手を拭きながらする噂話でショウジの境遇を知ったのだった。
いつものように体中にあざを作ってトイレに逃げ込んできたショウジが見たのは、扉から生えて手招きをしている白い腕。
「かわいそうなショウジさん、こちらにおいでおいで」
白い手が優しく頬をつつみ、頭を撫でると、ショウジは涙を流した。
「花子がかくまってあげるよ」
ショウジの背後から複数の足音が聞こえる。
「タスケテ・・・!」
そう、ショウジが言ったので、花子は奥から二番目のトイレを閉ざした。
「いまショウジはどうしてる?」
「眠っているよ」
いま、ショウジは花子の作った世界に閉じ込められている。
花子が開放するか、転校しないかぎり元の世界には戻れない。
「神隠しから開放すれば、転校しないで良いし、このままだと、わしとも居られなくなるぞ。それでもいいのかい?」
「それでもだめなの」
「だめなのか」
「そう、だめなの。」
花子は花子なりに傷ついているのが分かっているから、わしはすぐに説得を諦めた。...彼女は花子にではなく、人間に~暴力を振るったはずの級友に~助けを求めたのだ。
最後だから、と花子は明け方まで話をねだった。
わしが連れ出さないない限り、花子は女子トイレ周辺にしか出現できないので、他の教室の話がとても面白いようだ。
花子は振り返ってもう一度同じ事を聞いた。
「新しい学校でも、お友達できるかしら?」
「花子ならすぐにできるさ」
心優しい花子なら、きっと。
「ななも新しい「花子さん」と仲良くね」
ああ。でもおまえの月のように明るく綺麗な笑顔は絶対に忘れないよ。
そして、わしは大きく手を振りながら第七小学校の校門をくぐる花子を見送った。
奥から二番目のトイレの扉を叩き子供達がする花子を呼び出す「儀式」を真似てみる。
とんとんとん
「花子さんいますか?」
「はいってまーす」
第七小学校の七不思議のひとり・花子がニコニコしながら出てきた。
ふっくらした色白の頬、おさげが二本垂れている。その姿は10歳ほどにみえるが、卒業していく子供達を十数回は見送っている。
連れ立って校内を歩く。
「「転校」する日は今日なのね」
「そうだよ」
「あちらでも仲良しさんはできるかしら?」
「花子ならすぐお友達が出来るよ」
「もっともっと、ここに居たかったなぁ」
「でも花子は「校則」をちゃあんと知っているのでしょう?」
「うん...」
七不思議にもいくつかの決り事がある。彼女はそのうちのひとつを破ってしまったため今日、「転校」することになった。
わしはそれを伝えに、そしてお別れをしにきたのだ。
「ショウジが大好きだったのだね」
花子は頬をほんのり赤く染め頷く。
「いつも ね、ショウジさんは手を洗う時に一緒に鏡を綺麗に拭いてくれていたの。」
ほんの二日前までの日常を、遠い日のように花子は語る。
「だから、許せなかったの」
きっかけは、ショウジの隣の席にいた級友が試験で1番を取ったことからだった。ショウジとその級友が不正をしたと噂が流れ始めたのだ。
始めは二人三人のささやき声から。
五人十人の怒りの声となり、数十人の糾弾に。
ついにはショウジの隣の席に居た級友も被害者の側へ回る言動を取り出した。
そして、理不尽な暴力へとエスカレートするのに時間はそれほどかからなかった。
花子は子供達が手を拭きながらする噂話でショウジの境遇を知ったのだった。
いつものように体中にあざを作ってトイレに逃げ込んできたショウジが見たのは、扉から生えて手招きをしている白い腕。
「かわいそうなショウジさん、こちらにおいでおいで」
白い手が優しく頬をつつみ、頭を撫でると、ショウジは涙を流した。
「花子がかくまってあげるよ」
ショウジの背後から複数の足音が聞こえる。
「タスケテ・・・!」
そう、ショウジが言ったので、花子は奥から二番目のトイレを閉ざした。
「いまショウジはどうしてる?」
「眠っているよ」
いま、ショウジは花子の作った世界に閉じ込められている。
花子が開放するか、転校しないかぎり元の世界には戻れない。
「神隠しから開放すれば、転校しないで良いし、このままだと、わしとも居られなくなるぞ。それでもいいのかい?」
「それでもだめなの」
「だめなのか」
「そう、だめなの。」
花子は花子なりに傷ついているのが分かっているから、わしはすぐに説得を諦めた。...彼女は花子にではなく、人間に~暴力を振るったはずの級友に~助けを求めたのだ。
最後だから、と花子は明け方まで話をねだった。
わしが連れ出さないない限り、花子は女子トイレ周辺にしか出現できないので、他の教室の話がとても面白いようだ。
花子は振り返ってもう一度同じ事を聞いた。
「新しい学校でも、お友達できるかしら?」
「花子ならすぐにできるさ」
心優しい花子なら、きっと。
「ななも新しい「花子さん」と仲良くね」
ああ。でもおまえの月のように明るく綺麗な笑顔は絶対に忘れないよ。
そして、わしは大きく手を振りながら第七小学校の校門をくぐる花子を見送った。
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