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ヴァーディーさんの小説を転載しました。
ホラー作品です。

初出:http://vardhi.blog75.fc2.com/blog-category-14.html

置き去りにされた思い出

蝉たちが豪快に歌い、より一層暑さを際立てる。
僕の家から2kmほど山の方へ入ったら、古い校舎がある。
この校舎はもう15年も前に廃校となり、今は市街の大きい学校と統合された。
もちろん誰も手は付けておらず、木々や雑草は伸びたい放題だ。
木造の校舎がとてもいい味を出している。
太陽の光に映える木造の校舎は、不気味さなど感じさせない。
不気味さなど・・・1つも。

夏休み真っ盛りの僕たちは、毎日部活動でなかなか遊ぶことができなかった。
お盆に入り、やっと明日休みになる。
せっかくなんだから、みんなで遊ぼうってことになった。
部活帰りにみんなで話し合った。いろいろな意見が飛び交った。
「海で泳ごうぜ!」
と西原。こいつはとても陽気な奴で、部活じゃ元気ないクセに遊びになるとうるさい。
加藤が反対する。こいつは泳ぎが苦手だから反論してるだけ。
「花火だろ!花火だろやっぱり。なっ!?」
確かに花火もおもしろそうだが、そこらへんの広場となると近所迷惑になる。
どうせなら人気のない静かなところで豪勢にやりたい。
「花火やるんだったら、森山学校でよくね?」
森山学校。あの古い校舎を皆、そう呼んでいる。
これは本当の名前ではない。本当の名前は・・・知らない。
個人的には海に行きたかったのだが、みんなの意見が花火に流れたため、
結局花火になった。この日のうちにみんな花火を買い、明日の夜に備えた。

僕は5時半に家を出た。家が近くの森野と一緒に歩いて行った。
僕は一応懐中電灯を持っていった。
歩いて30分ほどで森山学校に着いた。そこにはすでに西原と加藤、河山がいた。
いつもは青々とした草木、そして茶色のシルエットを持つ校舎だが、
時が経つにつれ、だんだんと黒色一色に染まってきた。

みんなで持ち寄った花火のセットの袋をビリビリと破き、早速始めた。
最初は小物から。大物は最後に取っておかないと。
緑や青色、赤色そして黄色の光が炸裂する。
セットの残りが少なくなってきた。

しばらくして、加藤がトイレに行くと言い出した。
僕たちの周りだと嫌らしく、一人校舎の後ろでやる、と言って暗闇に消えた。
僕たちは何も気にせず、花火を続けた。
8時を回った。
20分も経ったのに加藤がトイレから帰ってこない。
周囲は真っ暗。校舎が異様な不気味さを感じさせる。
「どうする・・・?遅すぎるだろアイツ・・・。」
河山が心配そうに口を開いた。
「ちょい行ってみるか?校舎の裏だって言ってたよな。」
と西原。
「なんでそんなとこで・・・。」
小心者の森野が行きたくなさそうに言う。
しかし、友達を放っておくわけにはいかない。
意を決し、加藤を探しに行くことにした。
ここのグラウンドはあまり広くないため、すぐ校舎の前に来た。
もちろん懐中電灯を持っている。
「加藤~~~~!!!!」
西原が叫ぶ。ただむなしく風の吹き抜ける音が返ってくるのみ。
背筋に冷や汗が伝った。
こんなに不気味な校舎に入りたくない。本望だ。
「・・・やめようぜ・・・帰ろう。」
西原が急に言い出した。
遊びには積極的な西原だが、怖気付いたのか。
「加藤君、見捨てるの・・・?」
森野がささやいた。
「行こうぜ。4人もいれば大丈夫だろ。」
河山はそう言うとすぐに一人歩みだした。
もはや後戻りはできない。3人も河山に着いて校舎の裏へと回った。

雑草が腰の高さまで伸びている。ザァァ・・・と草が靡く音がする。
「加藤~~~!!!」
そう叫びつつ、前へと進んだ。どこにも彼の姿はない。
ザッザッ・・・、草を掻き分けて一歩一歩前へ進む。
懐中電灯で足元を照らそうとしても草がすごいため地面が見えない。
ゴッ!!
何かにぶつかった。
「な・・・なんだこれ。」
河山が草を分け地面を見た。
「う・・・うわああああああああっ!!!」
「なんだよ突然!?」
河山が腰を抜かしている。
僕は恐る恐る下を見た。
腐敗した犬の死骸だ。半分以上白骨化している。
「おえ・・・」
思わず吐きそうになった。
あたりを見たら、犬の死骸は一匹や二匹ではない。
そこら中に転がっている。
「待てよ・・・。こりゃねえぜ・・・。」
あまりの恐怖に言葉が続かない。
どうやらこの犬たちは、このあたりに転がる木の実を食べにきたらしい。
この木の実に毒などあるのか。
しかし、そんなことを考えているヒマはない。
加藤は一体どこへ行ったのか。加藤を探すことよりも自分の身の安全を皆考え出した。
風の音だけが空しく響く。

校舎の周りを一周回った。加藤はいない。
「・・・加藤・・・。」
半ば諦めの色が出てきた。
「何かの拍子で中に入ったんじゃねえの・・・?」
行くのかよ・・・。行きたくねぇよ。僕はそう思った。絶対行きたくない。
「ここまで来て友情なんてことで熱く・・・」
「バカ野郎!!お前、友達をこんなに簡単に見捨てるのかよ!!?」
下らないことを言いかけた西原に河山が一喝した。
一度は腰を抜かした河山だが、さすがは学級委員長。
「俺は行くからな!」
そう言うと一人校舎へと入っていった。
しぶしぶ僕らも河山に着いて校舎へと入った。

玄関だろうか。比較的広い場所だ。
奥へと進んだ。足を床につけるたびにギシギシと音が出る。
ところどころ床が抜けているところもあった。
懐中電灯を照らし慎重に前へ進んだ。
「加藤~~~!!!どこだ~~~!!?」
校舎内に声が響く。隙間風が空しく返事する。
廊下がとても長く見える。廊下の端は暗くて見えない。
窓はカタカタと音を立てる。
僕らは皆寄り合って恐る恐る前へと進む。
加藤の姿はどこにもない。

窓の向こうに泉が見えた。
どうやらこの学校には中庭があるらしい。
中庭へと出てみた。
「こんなところあったんだな・・・意外と広いなここ・・・。」
河山が言う。中庭があったのは想定外だった。
泉を囲う岩。その向こうに石碑か何かが見えた。
「おい。なんかあるぜ?」
みんな石碑に集まった。懐中電灯で照らしてみた。
「なんて書いてあるんだ?」
河山が読み始めた。
「追悼の碑。・・・加藤次郎・・・。」
加藤・・・。僕らの友達の加藤の名前は次郎。
「ははっ・・・なんだよこれ。」
「偶然じゃね?」
偶然なのだろう。偶然なんだ。そうに違いない。
黒い雲が月を覆っていった。

しばらくしてまた校舎へと戻った。
さっきよりさらに校舎が暗く見えた。
多くの教室を横に見て、奥へ奥へと進んでいった。
ギシギシと聞こえる床の音が、後ろから聞こえるようでとても怖い。

しばらく歩いたら学校内のトイレらしき場所に着いた。
壁が壊れており、風が吹き込んでいる。
小便器は割れており、大便器に・・・ ん?
2つ目の大便器の上に黒いシルエット。
懐中電灯を当てた。
「か・・・加藤っ!!!探したぞ!!!」
それは間違いなく加藤だった。
みな安堵の色を浮かべた・・・。
しかし様子がおかしい。
返事がない。
ただ、ガクガクと震えている。
「加藤!!おいっ!!加藤!!!」
河山が呼びかけるが青ざめた加藤から返事はない。
ただガクガクと震えている。
河山は震える加藤を抱えた。
「出るぞ!!」
河山は駆け出した。僕らも後ろを走った。
玄関に着いた。後ろを振り返る気などない。
ヒュオオオオ・・・。
後ろから風の音が聞こえる。さっきまで聞こえた風とは音の質が違う気がした。
校舎を出た。
花火の後始末をせず、さっさと学校を後にした。

盆が空けた。
また部活が始まった。
・・・あの日のことは皆には言ってない。言いたくない。
思い出したくない。

2学期が始まった。
ずっと空席が1つある。
あの日以来、加藤が学校に来ない。
加藤の両親に聞いたら、部屋に篭って震えているという。
話しかけてもまだ返事がないらしい。
あの時、河山が加藤を抱えて校舎を出た。
しかし、彼の心は・・・今どこに。

心の傷は時が癒してくれると言う。
僕らはあの日の記憶をやっと浄化し切れそうなのだが・・・あるモノを見るたび、あの日を思い出す。

あの空席を・・・見るたびに。

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●この作品は友達同士で決めたテーマ「夜の学校」に基づいてかかれました。
●少々急ぎ足で作ったせいか全体的に雑で深みがないです。
●最後の締めもわかりにくい。題名との関連性に気づいてくれ(ぁ
●読んだ方、感想くれると幸いです。
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